蕨市錦町の石仏

堂山寺 蕨市錦町6-5-12

JR埼京線の北戸田駅の東500mほどの住宅街の中に通称「堂山寺」がある。
明治4年に廃寺となった東光寺の不動明王をお堂に安置し、地名より堂山寺と
よばれるようになったものらしい。

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入口から正面をのぞくと墓地が広がっている。入口の左側に石塔が並んでいた。

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左には唐破風笠付角柱型の庚申塔 寛保4(1744)笠の正面には卍が刻まれている。
塔の正面上部に日月雲、中央を舟型に彫りくぼめて、その中に青面金剛立像 
剣・ショケラ持ち六臂。台は花を浮き彫りにした凝った作りになっている。

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青面金剛はかなり丁寧に彫られていて、全体のバランスもよく美しい。髪型が
川口型に通ずるものがあるが、腕のつき方はノーマル。頭部の脇は蛇だろうか。

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足元に邪鬼と三猿を彫る。二鶏は見当たらない。

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塔の右側面に「奉造立庚申尊像二世安樂所」

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左側面には年号。その下部に武州上蕨村 講中敬白と刻まれていた。

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下の台の三面に渡ってそれぞれ二段に、カナで名前が刻まれている。正面が40名。
左側面は途中から一部が土に隠れてしまい確認できない。資料によると計113名。
カナの名前は女性だと思われるが、下蕨村に何人くらいの女性がいたのだろう?

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右 敷石供養塔 弘化3(1846)正面中央に「敷石供養塔」と彫る。

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右側面に年号。左側面 世話人 上蕨若者中 願主 木圓と刻まれていた。

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その後に六地蔵の堂が立っている。脇に石仏が並ぶ。

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堂の中の六地蔵菩薩立像。扉はしっかり閉まっていて近づけない。隙間から
覗いてみたが銘は確認できなかった。

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堂の前に 庚申塔 寛文10(1670)舟型の光背の上部に豪華な天蓋を描き、その下に
薬師如来立像を彫る。なんと美しいのだろう。江戸時代初期の作品とは信じ難い。

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光背右「奉起立庚申為逆修菩提」光背左に年号。下部両脇に信心 施主と刻む。

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下の台の正面に18名の名前が刻まれていた。実際は線香立てのため全体像は
確認できない。

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蕨市指定文化財ということで説明板が立っていた。隣に大きな地蔵菩薩立像が
立っているが、こちらは像、台いずれにも銘は見当たらなかった。

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墓地の南側の一角に庚申塔 正徳6(1716)が立っていた。上部に日月雲。梵字。
中央に「奉建立庚申」両脇に年号を刻む。地面ぎりぎりに三猿の頭部だけが
見える。結構多くの部分が埋まっているようだ。

 

大日本印刷北T字路 蕨市錦町4-3-13付近

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堂山寺から南の方向に歩くと大きな印刷工場がある。その北東の付近、T字路の
突き当たりに稲荷神社の鳥居が見えるが、その脇に庚申塔が立っていた。

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雨よけの下 庚申塔 文化13(1816)日月雲 青面金剛立像 剣・ショケラ持ち六臂。

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像全体が風化のため丸みを帯びている。ショケラは小さな手で合掌しているが
一見ミノムシのような形で面白い。足元の邪鬼も独特な表情を見せている。

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台の正面に彫られた三猿が秀逸。腕を振り上げ、棒を担ぎ、また杖を突きつつ
三匹の猿は楽しげに行進中のように見えた。ここの邪鬼と三猿は早瀬二丁目の
墓地で見かけた庚申塔とよく似ている。

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上の写真は戸田市早瀬の墓地の庚申塔 文化12(1815)。(2014.11.25の記事)
細かく見ると若干の違いはあるが、造立年も一年違いでもあることだし、
何らかの関連があることは間違いなさそうだ。

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塔の右側面に年号。脇に世話人 講中と刻まれている。

市立図書館分館南路傍 蕨市錦町3-10

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蕨市立第二中学校の東に市立図書館分館がある。そのすぐ南、四つ角にある
住宅のブロック塀の前に庚申塔が立っていた。

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庚申塔 造立年不明 正面「庚申神」右脇に年と見えるがその上の部分が
削れていて読めない。

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塔の左側面には はやせ 大山道と刻まれている。

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右側面 美女木 □きまた道。道満河岸から引又へ向かう道筋だったのだろうか。
若干はなしがそれるが、この石塔の上部には大きく二つの穴が穿たれている。
時々こういった石塔を目にするがいったいこれはなんだろう?塔の正面だったり
台のほうだったり、ときには塔全体にわたっていたりする。

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上の写真はさいたま市見沼区膝子の稲荷社の前の庚申塔。穴は塔の裏にまで
及んでいた。こうなるともはやいたずらなどというレベルではなさそうだ。

錦町二丁目交差点西三角地 蕨市錦町3-1-7

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中山道の錦町二丁目交差点から西に歩いてすぐ、右手の三角地、道路沿いに
派手な青色の雨よけが立っていて、その下に石塔が並んでいた。ここから
さらに西に歩くと上の庚申塔のある場所に出る。

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右 板碑型の庚申塔 延宝8(1680)塔の前に草が生い茂り、写真が撮りにくい。
上部に日月。中央の文字は薄い。中央に「奉彫建庚申支提」両脇に年号。

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その下には二鶏と三猿。二鶏が主尊のような扱いというのはあまり見ない。

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中央 この石塔には文字が見当たらなかった。正体不明塔が中央とは・・・
なにか意味のある石塔なのかもしれないがよくわからない。

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その左 小ぶりで真四角、直方体の庚申塔。中央「庚申塔」一部は土に埋まる。

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右側面 嘉永甲虎秋。嘉永7(1854)のものらしい。

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その前にさらに小さな石塔。正面「庚申」右脇に汝と見え、左脇に漸々。
こちらは半分近くが土の下に埋まっているようだ。