諏訪氷川神社 雲居の瀧 富士見市諏訪1-13


三光院墓地のあたりから急な坂を登ったところに諏訪神社、そのすぐ先に氷川神社がある。参道の右側が低地になっていて、散歩道が設けられていた。


階段を降りきると雲居の瀧と呼ばれる湧水池があり、その池の中央に祠が立っている。


祠の中には三つの違ったタイプの弁財天塔が祀られていた。


右 文字塔。正面に「辨財天」左側面に鶴間村、願主は個人名。右側面は確認できないが、造立年月日が刻まれているものと思われる。


左 蛇身像。弁才天は宇賀神と習合して、頭上に蛇をいただく姿の宇賀弁才天として広く信仰されるようになったらしいが、蛇の姿をした人頭蛇身の像が蛇身弁財天として祀られることも多いようだ。台に銘がなく造立年月日は不明。


奥 弁才天坐像 寛政2(1790)上部に琵琶を手にした二臂の弁才天を彫る。祠の中は暗く、何枚か撮ってみたがうまくピントが合わない。


塔の中央「弁(異体字)才天」両脇に造立年月日。下部には鶴馬村 願主は個人名。左に折戸 宿中と刻まれていた。

諏訪氷川神社東路傍 富士見市諏訪1-9


氷川神社と諏訪神社の間の道を東に向かうと、道は一度左に曲がりすぐまた右に曲がってゆく。この角のあたりに小堂が立っていた。


小堂の中には三基の石仏が並んでいる。


左 地蔵菩薩立像 明和4(1767)丸彫りの延命地蔵。


台の正面「念佛講中」右脇に造立年月日。左脇には鶴馬村折戸宿女中と刻まれていた。


中央 普門品供養塔 天明元年(1781)正面を彫り窪めた中 上部 蓮座の上に聖観音菩薩坐像。彫りは細かく美しい。その下に「普門品一萬巻供養塔」両脇に造立年月日。右下に願主二名。左下に講中とあり、折戸 宿 山室と刻まれている。


塔の左側面「奉納 秩父・西国・坂東百ヶ所供養者也」両脇に天下和順・日月晴明。さらに願主三名の名前。観音霊場百カ所を順礼した記念の塔でもあるようだ。


右 馬頭観音坐像 寛文4(1664)三面八臂慈悲相。穏やかな表情が印象的。光背上部に造立年月日。台の正面にも文字が見えるがうまく読めなかった。

瑠璃光寺 富士見市諏訪1-8


氷川神社と諏訪神社の間の道を東に向かうと、前回紹介した三基の石塔の並ぶ小堂の前を通り、その先の坂を下ってゆくと富士見市立図書館の前の交差点に出る。坂の途中、右手に瑠璃光寺があった。山門の前 両脇に風神像と雷神像が立っている。


山門を入るとすぐ参道の左側にブロックに囲まれて石塔が並んでいた。


六地蔵菩薩立像 寛政2(1790)六体の丸彫りの石地蔵はサイズもほぼ同じで顔の表情なども似た印象を受けるが、蓮台と敷茄子のほうは微妙だ。


下の台にそれぞれ銘が刻まれていた。左端、中央に「念佛講中」右に折戸、左に宿中。二番目は宗岡村、同所とあり、二名の名前。三番目は中央に「奉造立六地蔵大士」両脇に造立年月日。


続いて四番目の台には紀年銘の脇に願主 個人名、五番目の台は折戸とあり三名の名前、最後の台には宝瀧山 瑠璃光寺義傳代と刻まれていた。


隣 如意輪観音坐像 文化5(1808)こちらは個人の墓塔のようだ。


続いて千手観音塔 嘉永6(1853)てっぺんを波型に削った角柱型の石塔。正面上部に千手観音坐像。その下に「南無千手觀世音菩薩」右脇に敷石願主 當院現住、左脇に堅？者法印榮信□と刻まれていた。


千手観音坐像の彫りは細かい。調べてみると千手観音は十一面四十二臂とするものが一般的ということだが、頭上には二十を超す仏面が見られる。胸の前で合掌し、腹の前で鉢を持ち、後ろに二段に彫られた手も40本近くありそうだ。


塔の左側面は無銘。右側面には造立年月日が刻まれていた。

富士見台中学校北路傍 富士見市諏訪2-9


諏訪神社の南の道を東に向かうと長い下り坂が続き右手に富士見台中学校が見えてくる。道路左側の住宅地に入ってゆく道の角に石塔が立っていた。


馬頭観音塔 慶応3(1867)塔の正面に「馬頭觀世音」右側面に造立年月日。左側面には折戸 宿 馬持中と刻まれている。

宮下住宅路傍 富士見市諏訪2-13


諏訪神社の南、三光院墓地のあたりから東へ向かうと、緩やかな下り坂になり道路の左側に住宅地が広がる。コンクリートの壁の片隅に赤い鳥居が立っていた。


鳥居の先には雨除けの下に板碑型の石塔。比較的新しい住宅地だと思われるのだが、大事にされているもののようだ。


庚申塔 延宝2(1674)正面中央「奉祈進庚申之供養」右脇に造立年月日。左脇に武州入戸小間之郡鶴間村。入戸小間＝入間となるのだろうか？なんだか不思議な気がする。

山室地蔵堂 富士見市諏訪1-11


富士見市役所前の信号交差点から西に向かう道はしばらく坂を登り、やがて羽沢、上沢方面に出る。坂を登りきったあたり、左側に墓地があった。墓地には堂があり「山室地蔵堂」となっていたが、この道の北側が山室で、地蔵堂のある場所は諏訪、さらにすぐ隣は羽沢という込み入った状況になっている。


地蔵堂の近く、西側の一角に、屋根型の笠を持った宝篋印塔 安永8(1779)が立っていた。


基礎部三面に梵字で銘を刻む。正面中央「奉納 西國・秩父・坂東百ヶ所」右脇に「普門品一万巻」左脇に造立年月日が刻まれている。


墓地の南側、真新しい六地蔵の裏にある小堂の中に大きな石地蔵が祀られていた。


地蔵菩薩立像 享保5(1720)端正な顔立ちの丸彫りの延命地蔵。錫杖、宝珠とも健在で彫りも細かい。堂々とした立ち姿に思わず手を合わせてしまう。二重の台の上に塔部、蓮台となり、全体では2ｍほどになるだろう。


塔部正面「奉造立愛宕供養佛」その両脇に造立年月日。右側面に諸願成就 敬白 圓満之攸。富士見市HPはこれを「円満之修」としているが、「攸」だろう。左側面には施主 山室村中 三拾五人と刻まれている。


小堂の奥に板碑型の庚申塔 寛文4(1664)が立っていた。富士見市内で最古の庚申塔らしい。


中央 梵字「キリーク」の下「奉庚申供養」両脇に造立年月日。下のほうに細かい字で十数人の名前が刻まれている。


庚申塔の脇に小さな石塔が立っていた。正面「奉寄進為二世安樂」脇に享保5年の銘。右側面に鶴間村山室、左側面に施主 個人名が刻まれている。享保5年というと小堂の中の延命地蔵の造立年なので、なにか関連があるのかもしれない。


墓地の南西のブロック塀の前に、延命地蔵の小堂と向き合うようにたくさんの石塔が並んでいた。卵塔などの奥に二基の唐破風笠付の石塔が見える。


右 観音霊場供養塔 安永6(1777)正面 梵字「キリーク」の下「奉造立坂東秩父六十七ヶ所供養塔為二世安樂也」よく見られる観音霊場百ヶ所のうち西国の三十三ヶ所をのぞき六十七ヶ所というのはいままでに見た記憶がないが、これも現実的な選択と言えるのかもしれない。両脇に造立年月日。塔の右側面に施主、個人名。左側面には願主とあり、こちらも個人名が刻まれていた。


左 大乗妙典供養塔 明和6(1769)正面 梵字「ア」の下「奉納大乗妙典日本廻國單譽直□」両脇に造立年月日を刻む。


塔の右側面に三南畑村中 大井町中 苗間村中、左側面には鶴馬村施主とあり、二名の名前が刻まれていた


墓地を出て南に向かって歩くと、すぐそばの木立の中に馬頭観音塔が見える。


馬頭観音塔 明治4(1871)自然石に大きく「馬頭観世音」下の台の正面に山室講中。塔の背面には造立年月日が刻まれていた。