旧常楽院墓地　戸田市新曽 ［地図]

戸田駅の南200mほど、路地の奥に旧常楽院墓地の入口がある。隣は沖内会館。


門を入って右奥に歴代住職の墓石が並んでいた。無縫塔、板碑型、角柱型、文字塔
像塔、宝筐印塔など、様々な石塔を見ることができる。


一番手前に立つ板碑型の石塔、正面を彫り窪め、その縁と下の台に見事な蓮の花を
浮き彫りに、その彫り窪めた正面に奉造立阿弥陀如来尊像壹宇処と彫られていた。
右脇に承應3(1654)の銘があり、左脇に念佛講結衆同行十六人と刻まれている。


入口から入って左には地蔵菩薩坐像や宝筐印塔などが並んでいた。


地蔵菩薩坐像 右手の錫杖は失われている。規模も大きく丁寧な彫りだ。


蓮台の下の台は六角で正面には凝った彫りがあり側面には偈文が見える。


六角の後ろの面に銘文が刻まれていた。文化15(1818)導師、発願主と続き
最後に助成當洞 女講中となっている。


その下の大きな四角の台の右側面、世話人として上戸田邑の五名の名前が、
さらに石工名が刻まれる。正面と左側面には多くの戒名が刻まれていた。


奥に 宝筐印塔 文化4(1807)江戸後期、笠型だが相輪を欠いている。


隣 宝筐印塔 享保6(1721)江戸中期。こちらは相輪と隅飾の一部が欠けていた。


さらにその奥には二基の庚申塔が見える。手前 庚申塔 嘉永元年(1848)
右側面 東 わらび 鳩がや 道と刻まれていた。


左側面には 西 早瀬 引又 大山 道となっている。貴重な道標だったろう。


奥 庚申塔 安永4(1775) 青面金剛立像 合掌型六臂。大きな笠のおかげで比較的
きれいだ。下部に邪鬼と三猿が彫られている。邪鬼の表情が渋い。


左側面に講中十七人？青面金剛の脇手はかなり高く、肩の辺りに彫られている。


墓地の一番奥の一角に目を引く石塔が立っていた。法師、法尼名とそれぞれの
命日と思われる安政四年、七年の日付が刻まれ、その下に金剛界、胎蔵界の
両大日如来坐像が彫られている。どういった物語があるのだろうか？